|
|
|
|
|||||||||||
5−1−4 リンデの空気液化サイク | |||||||||||
1−4 空気分離 ②深冷空気分離の歴史 (b)空気の液化
にウィリアム・ハンプソンとカール・フォン・リンデが空気の液化プロセスを発明したことを記した。図を再掲する。 ハンプソンは英国で、リンデはドイツでほぼ同時に空気の液化プロセスを発明し、空気を液化して蒸留する仕組みを実用化した。(特許の出願はハンプソンの方がわずかに早い) |
|||||||||||
リンデの液化プロセスを別の図で示す。 | |||||||||||
|
|||||||||||
熱交換器では等圧線上で温度が下がり(点1→点2)、膨張弁で急激に膨張、JT膨張(等エンタルピー膨張)によって一部が液化する(点2→点3)。液体空気はタンクに溜まり、その一部がバルブ5より取り出される。 液体空気と平衡関係にある気体の空気はタンクから出て、熱交換器で加熱される(点4→点6)。一部取り出された液体空気の分は外気が取り入れられ、戻りの空気と一緒に再び空気圧縮機で圧縮され、このようなサイクルが連続的に繰り返されて液体空気が作られる。 |
|||||||||||
なお、図5-4では6→1の間は、等温で圧縮しているように示されているが、圧縮された空気はかなりの高温となるので、図4-3-4に示すように圧縮機の後にアフタークーラー(水や外気で圧縮空気を冷却する熱交換器)があり、圧縮熱を除去している。また、1段で圧縮すると高温になり過ぎるため、実際の圧縮機では、数段に分けて圧縮が行われ、その都度インタークーラーによって冷却され、圧縮熱が除去されている。
このプロセスは、圧縮機と熱交換器と膨張弁で構成される、非常にシンプルな方法で、空気を冷却しその一部を液体空気として取り出しているが、系全体としては系外へ組みだしている熱はごくわずかであるため、製造できる液体空気もごくわずかである。また図では全体のプロセスが成り立っているように示されているが、実際の装置は起動時は常温であり、液体空気も溜まっていないため、この状態に到達するためには、徐々に系外へ熱を取り出して装置を冷やしていかなければならない。ラムゼーが希ガスの研究に必要とした試料は、ハンプソンは何日もかかって製造したわずかな量の液体空気から作られていた。(2−4 希ガスの科学 2−4−2 アルゴンの発見) |
|||||||||||
このプロセスが、非常にシンプルながら効率があまりよくないのは、JT膨張が等エンタルピー過程であるため、低温状態を作り出すことは容易であるが、エネルギーを系外に汲み出すという冷凍サイクルとしての効率が低いからである。エネルギーを系外に汲み出すために、ガスが熱力学的な「仕事」を行うプロセスが考案された。 | |||||||||||