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量子の性質、量子は波動性と粒子性を持つ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
エネルギーがとびとびの値を持ち、波と思われていた「光」は、とびとびの値と粒子性を持つことが分かった。ニールス・ボーア(1885〜1962年、デンマーク)は、原子の中にある電子もとびとびの値を持つと考えて電子の性質を説明、粒子だと思われていた「電子」には「物質波」という波の性質があることが明らかにされた。エネルギーと光が量子化され、電子も量子になった。 ボーアは、英国のキャヴェンディッシュ研究所のJJトムソンの下でラザフォードの原子模型を研究し、ボーアの原子模型を完成させた(1913年)。ボーアは、原子の中に原子核と電子があるという原子の構造を明らかにし、原子核という言葉をはじめて使った。(前期量子論の第2段階)。 ボーアは、量子力学、原子物理学に数々の貢献をし、ノーベル物理学賞を受賞(1922年)、コペンハーゲンに理論物理学研究所(ニールス・ボーア研究所)を開き、外国から著名な物理学者、ヴェルナー・ハイゼンベルク、エルヴィン・シュレーディンガーらを招いて研究を行い、コペンハーゲン学派を形成した。 |
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ルイ・ド・ブロイによる「物質波の仮説」 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ルイ・ド・ブロイ(1892〜 1987年、フランス)は、電子以外にも存在する「物質波の仮説」を主張、自らの博士論文の中で発表した(1924年)。量子力学における重要な式、「アインシュタイン=ド・ブロイの関係」が得られた。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ド・ブロイ兄弟は、兄のモーリス・ド・ブロイは実験物理学者(X線回折、分光学)、弟のルイ・ド・ブロイは理論物理学者である。ルイが提出した物質波に関する博士論文は、学位審査員には理解されなかったが、部外者として意見を求められたアインシュタインは、これを高く評価し、ルイ・ド・ブロイは博士号を取得することができた。当初は孤立したド・ブロイの理論もやがて電子回折の実験などによって実証が進み、ド・ブロイにノーベル物理学賞が授与された(1929年)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アインシュタインの関係は、光が光量子として持つエネルギーを波の振動数で示し、ド・ブロイの関係は、物質の持つ運動量が波の波長で表わされることを示している。これは、光だけでなく全ての物質が波動性を持つという仮説から導かれている。光の場合、アインシュタインの式から光量子の運動量は 、 と示されたが、ド・ブロイの式では、電子に限らず光子を含む広く量子を一般化したものとなっており、粒子を特徴づけるもの(運動量 p とエネルギー E )と波動性を特徴づけるもの(周波数 f と波長 λ)を結び付け、粒子性と波動性という量子の持つふたつの性質を簡潔に定式化した。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
佐藤勝彦先生の説明によると、「物質波である電子は、誰も見ていないときは波であり、観測されるときは必ず粒子になるため、誰も波である電子を観測することがない」。これも、量子力学によって明らかにされていった量子の本質である。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
プランクが、エネルギーの量子化を行った時に導入した「プランク定数」 (Plancksches Wirkungsquantum、プランクの作用量子)は、「アインシュタイン=ド・ブロイの関係」のいずれの式にも現れる極めて重要な物理学の基礎定数となった。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
プランク定数は、SI単位では、作用の次元を持ち、6.626070040X10-34Jsの値が示されている。プランク定数は、エネルギーの量子化に関するものであるため、桁外れに小さな値となっている。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
プランク定数を2πで割った量もよく使われ「換算プランク定数」あるいは「ディラック定数」の名前がある。記号はストローク符号を用い、 と定義され、アインシュタイン=ド・ブロイの関係は次のように書き換えられる。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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エネルギー、光、電子の量子化 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
20世紀初頭の前記量子論を極めて短くまとめると、マックス・プランクによるエネルギーの量子化、アインシュタインによる光量子説、ボーアによる電子の量子化、ド・ブロイによる物質波の概念、といったように並べることができる。ガスの科学の基礎、大雑把な知識としては経緯を大雑把に知っておけばよさそうに思えるが、それまでの科学を根底から覆し、19世紀までを古典物理学、20世紀以降を現代物理学として科学を大きく二分する出来事は、こんなに簡単にはまとめられない非常に重い歴史がある。 特に20世紀の最初の四半世紀、科学は極めて大きな変革期にあり、プランクやアインシュタインなど、量子論に深く関わった天才といえども、はじめから全て理解していた訳ではない。自らが導いた理論ですら当初は信じられないことも多かったという。 量子論に賛成する人たちと反対する人たちとの間の大いなる科学的議論の末に、量子論は確立されていったものであり、今日信じられている様々な科学の解釈や帰結が20世紀の前半までに得られることなる。そして20世紀と21世紀は科学技術の時代となった。 |
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19世紀末から20世紀初頭の科学の年表を簡単に整理すると次のようになる(多くの部分は森田邦久氏の著書を参考にしたが、少し異なる部分もある)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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正しい原子模型は「ボーアの原子模型」である。波として存在する電子を図示することは困難であるため、粒子である電子がぐるぐる回っている図が教育資料などでもよく用いられるが、これが量子の理解を誤らせることにもつながっている。 量子が持つ波動性と粒子性の二重性の理解に関する解説は、量子力学の様々な場面で現れる。量子は、波として存在し、粒子として観測され、二つの性質を「同時に持つ」という表現もわれわれが普段が考える同時という概念とは異なるようで、観測者の立場によって波にも粒子にも見えるという「不思議な量子の世界」を明らかにしていった天才のひとりがニールス・ボーアである。 |
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