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新・漫画ガスの話 75

作成日2020/11/06 更新日2022/04/10 コメント2023/07/26
Gガスの科学/エネルギーの話 力(ちから)って何?

「エネルギー」という新語が作られたのは温度が発明された(シャルルの法則)のとほぼ同じ頃、200年くらい前のことです。

運動エネルギー、熱エネルギー、電気エネルギー、ポテンシャルエネルギーなど多くの「〇〇エネルギー」が作られましたが、エネルギーそのものの概念ははとても分かりにくいものです。スタミナや資源などとは異なるエネルギーの本質をめぐる論争や研究のなかで科学・技術、文明が発展していきました。
様々な形態のエネルギーの性質を調べたり、その量を計算したりはできますが、エネルギーとは何かというのを簡潔に述べることはできません。熱や運動や力の大きさや電圧や電流、時間を測って、そこからエネルギーを計算することはできても、エネルギーそのものを測る計測器はありません。

エネルギーの最も重要な性質は、エネルギーの総量は変化しないということです。
エネルギーは形態が変わり頻繁に変換されていますが、エネルギーそのものは、新たに生まれたり消滅したりしないのです。
一方、社会的には「エネルギー源」のこともエネルギーと呼び「石油エネルギー」、「石炭エネルギー」、「風力エネルギー」などの言葉が作られています。一次エネルギーや二次エネルギー、再生可能エネルギーなど、本来のエネルギーの概念から外れた言葉もたくさん生まれています。これらの言葉はエネルギーの実体が分からないまま「資源」としてのエネルギーを議論するものなので、「エネルギーを産む」「エネルギーを無駄にする」などの非科学的な文脈に現れています。人間ができるのは「エネルギー変換」に伴うエネルギーの利用だけであって、エネルギーそのものは誰も作り出すことはできません。

実体がよく分からない「エネルギー」を組織や企業の名前に使っているところが数多ありますが、エネルギーって何っとい質問に正しく答えられることはほぼ不可能です。
そもそも「エネルギー」という言葉がどういう経緯で発明されたのか、この言葉が作られた200年前の少し前、「力ちから」をめぐる論争から見ていきたいと思います。