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新・漫画ガスの話 76

作成日2020/11/06 更新日2022/04/10 コメント2023/07/28
Gガスの科学/エネルギーの話 活力論争

活力(vitality)とは、何なのか。辞書を引くと「活動を生み出す力」とか「元気よく動いたり働いたりする力」あるいは「エネルギー」と書いてあることがありますが、もちろん科学的にはエネルギーのことではありません。
力学における活力は静力に対する言葉です。動かないで釣り合っている物には、動いていないけれど力が働いています。これに対して動いている物に働く力を考える時、動くものには何か「活力」と言う物性があると考えられていました。電気に「静電気」と「動電気(電流)」という現象があるように、力も、釣り合いを作り出す「静力」と運動する「活力」があると考えられたのです。
中世の自然哲学、後の自然科学の中では、大きな「活力論争」が起りました。しかし活力論争のほとんどは運動を正しく理解しておらず、それを解決するために、科学者(後の物理学者)ではなく多くの大数学者が活躍しました。活力論争の中で正解に近い議論が出来たのは力学の研究者ではなく欧州の数学者たちでした。
デカルトやニュートンのように直感や感性に頼る旧来の手法では活力を説明できず、オイラーやダランベールが示したように、運動は物体に内包される物性ではありませんでした。しかし、活力が何かという本質的な問題は容易には解決しませんでした。