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新・漫画ガスの話 67

作成日2020/11/02 更新日2022/04/09 コメント2023/07/18

Fガスの科学/原子・分子の話 50年も埋もれたアボガドロの法則

アボガドロの法則が認められるまでになんと50年もかかります。
古くはロバート・ボイルが唱え、ドルトンが道筋をつけた原子・分子説は、見えないガスが小さな粒の集合体であるという画期的な科学の進歩でした。そしてドルトンの理論ではつじつまの合わない様々な実験結果を説明するためにゲイ=リュサックやアヴォガドロが、新たな提案を行って原子・分子論のほころびを繕おうとしました。空気や水や酸素がつながった連続的な物質なのか、本当は小さな独立した粒なのか、科学だけでなく様々な分野に影響を与える重大な局面が訪れていたのです。
20世紀の理科の授業では、分子という小さな粒が存在し、それが集まって水や空気が出来ているとさらっと教えます。そしてガスは「アボガドロの法則」(理想気体)に従うと教えます。とても分かり切ったように簡単に教えてしまいますが、アヴォガドロが元気なうちにその法則が認められることはなく、理論と実際の結果が全く合わないというモワっとした宙ぶらりんな「化学」の時代が半世紀も続いたのです。
これは、ドルトンが提出したデータがあまりにも正確にドルトンの原子論を説明したため、多くの学者がアヴォガドロの研究を信用しなかったためでした。これはドルトンによって仕組まれた、データの改竄や、選択(理論に合うようなデータだけを作為的に選んだ)によるものです。アヴォガドロが提唱したように原子(単原子分子)と分子(二原子分子)を認めていればドルトンの理論は完成していたはずですが、彼は自説を曲げず原子・分子論を迷走させてしまったのです。
今私たちが知っている水の化学式は、ドルトンが提唱したHOではなくH2Oです。ドルトンは2種類存在した炭素-酸素化合物をCO、CO2、C2Oとしましたが、実際にあるのは、COとCO2でした。酸素や窒素もO2、N2です。化学の天才、デービーはドルトンの実験の稚拙さを指摘し、データが信用できないことを主張していましたが、多くの科学者たちは騙されてしまったのです。
科学の世界では「追試」も重要です。ドルトンの実験はほとんどが追試で確認されず、嘘がばれてしまいましたが、アヴォガドロの正しさが証明されるには長い時間がかかってしまいました。

1860年、カールスルーエ会議で謎解きが行われ、ついにアボガドロの法則が認められました。