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5−1−2 温度−エントロピー線図(T-s線図) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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T-s線図から、実在気体や液体の性質、プロセスについて、様々なことを読み取ることができる。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
等圧下での気体の冷却、液化 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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この図は、ガスを等圧下で冷却し、温度の低下(1→2)、液化の開始(2)、液化の終了(2→3)、さらに低温のサブクール液体(3→4)、ができるまでの工程を熱力学線図の上に示したものである。 これを逆にすると、点4のサブクール液体を加熱していくと、点3で飽和液体となり沸騰が始まり(沸点)、点2の点で全て蒸気になり(露点)、さらに温度が点1の気体(過熱蒸気とも呼ぶ)になる。 |
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なお、サブクール(subcool)液体がさらに冷却され凝固点以下の温度になっても固化が起こらない状態を過冷却(supercool)と呼び、そのような液体を過冷却液体と呼ぶ。「過冷」とは冷やし過ぎている(supercool)のに固化しないという意味の科学用語であり、十分に冷却されているのに液化しない蒸気も過冷却蒸気と呼ばれる。これに対して、飽和温度よりも冷たい状態を表すsubcoolにはちょうど当てはまる訳語がないため、「サブクール」とカタカナのまま示される。スーパークールとサブクールは全く別の現象を表す言葉であり、サブクールと過冷を混同しないようにしたい。 一方、蒸気を全く含まない気体はただ単にガスあるいは気体と呼ぶのが普通であるが、蒸気機関などでは「過熱蒸気」と呼ぶこともある。これに対して沸点よりも温度が高くなっても沸騰しない液体を過熱液体(superheat)と呼び、過冷却や加熱という用語の使い方には注意が必要である。 サブクール液体、過熱蒸気、飽和蒸気、飽和気体、気体、気液二相状態などは熱力学的平衡に関する用語であるのに対し、過冷却液体、過冷却蒸気、過熱液体は非平衡の状態を示しているのでT-s線図のような熱力学線図上には示されない。 |
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図は、酸素や窒素のような純物質のT-s線図であるが、混合物である空気にも(便宜的な)T-s線図がある。この場合は、同じ組成の液体の沸点と気体の露点は温度が異なり、気液二相領域の等圧線は水平にならない。実際には、液化が始まると液相と気相の組成は大きく変わるので、組成を(原料)空気と同じに固定した線図を作っても全く実用的ではないが、混合物では、露点と沸点の温度が異なることが読み取れるので、このような線図は教育的な意味合いがあり、実務(実際の設計)には使えない。液化が進み、あるいは蒸発が進み、液体と気体の組成が変化をしていくと飽和温度が変わっていくので、そのような現象を理解する手助けにはなると思うが、現在では設計用のツールにはならない。 実際の露点や沸点の計算は、物性推算プログラムとプロセスシミュレータを用いた気液平衡の計算によって行われる。 |
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