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新・漫画ガスの話 79

作成日2020/11/10 更新日2022/04/10 コメント2023/08/31

Gガスの科学/エネルギーの話 科学の原理

科学的思考には、原因と結果の間に「理由」が必要です。そして様々な法則には「理由」があります。
しかし、なぜ、どうしてを繰り返していくと、最後には理由を説明できない「自然の本質」にたどりついてしまいます。数学のように人間が考えたもの(言語)であれば、定義や自明などが最上位のルールであり、その他のものは定義に基づいて導かれた定理、公式などになっていきますが、自然界の場合には最上位に「原理」と呼ばれる自然の本質があり、その他のものはそこから導かれる法則と呼ばれるものになります。数学の定義は人が決めていますが、自然界の原理は人が現れる前からの存在するものであり、誰も決めていません。
何が自然の本質を決めているのか、もし宗教であれば、神によるものと考えるところですが、科学の場合は「自然の本質」であり、これを「原理」と呼んでいます。理由を必要としない法則、証明ができない法則、他の法則から導くことができない法則、科学の「原理」とはそういう性質のものです

「最小作用の原理」にも理由はありません。証明できるものは原理ではないので、最小作用の原理も証明することはできません。
人が原理を理解するには「科学的な解釈」が必要であり。多くの人が共通認識として認めることが必要です。もしある原理が実際の自然界の実際と合わないと分かった時、「原理が破れる」と呼びます。そもそもその原理と呼ばれている法則が間違っていたといことになり、大きく世界観が変わります。
たとえばニュートン力学は、絶対時間・絶対空間という原理の上に構築されていましたが、120年前に完全に破れてしまいました。時間も空間も絶対ではなく伸び縮みすることが証明されてしまいました。古くは天動説(地球中心説)、地動説(太陽中心説)などの原理が信じられた時代もありましたが、実際は太陽も銀河も運動しており、この世界にはじっと「止まっている」ところはなく、全ての運動が相対的であることが分かりました。

大昔、自然界には人の知識では説明できないことが非常にたくさんありました。人々はそれを自然の原理だと考えて来たのですが、科学の進歩によって多くの原理が、法則としてきちんと説明できるようになり、20世紀、科学の時代には、原理と呼べるものの数は非常に少なくなっています。19世紀までは自然の法則をなんでもかんでも「原理」と呼んで、その理由については考えないという傾向がありましたが、現在では、多くの原理が法則に「格下げ」になってしまい、本物の原理はごくわずかです。
そして、今も破れていない「最小作用の原理」は物理学の最上位の法則であり、指導原理のひとつとされています。

最小作用の原理の研究から20年後、ヤングが「エネルギー」という言葉を作りました。