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「新・漫画ガスの話」9  
作成日2020/10/06 更新日2022/04/02

Bガスの科学/圧力の話 ガリレオ・ガリレイとロバート・ボイル

ファン・デル・ワールスの状態方程式は実在する気体・液体を比較的精度よく記述する方程式です。しかし、これを理解するためには、ずっとさかのぼって、理想気体や分子のことを復習しなければなりません。ガスの話は17世紀にから始める必要があります。

日本の高校の理科では「ボイル・シャルルの法則」という言葉が出てきます。しかし、これは日本だけの表現であり、英語にはこの用語はありません。コンバインドされた(組み合わされた)理想気体の状態方程式というのが、日本語のボイル・シャルルの法則に相当します。ボイルの法則とシャルルの法則は全く異なる法則であり、科学的な意義も異なります。
ボイルの法則は圧力の概念の提唱、シャルルの法則は科学的な温度の定義といった重要な意義があり、これらの法則が発見された経緯、時代、国が全く異なります。ボイルの法則は17世紀の英国、シャルルの法則は19世紀のフランス、で発見されたものです。ボイル・シャルルの法則と続けて読むと、まるで二つの法則に関連があるように誤解されてしまいます。二つの法則をひとつの式にまとめたのはクラペイロンですが、この式を受験のために丸暗記するような学習では、本質を見失ってしまいます。
「圧力」と「温度」は突き詰めて考えていくとだんだん難しくなってきて、「力」や「エネルギー」の概念の理解が必要になってきます。ひとまとめにせず、「圧力」のこと、ボイルの法則から思い出していこうと思います。
17世紀の中盤、イタリアの天才、ガリレオ・ガリレイと次世代の天才ロバート・フックがフィレンツェですれ違います。